京都の賃貸商習慣

礼金
京都の賃貸契約には「敷金」「礼金」という習慣があります。

「敷金」は滞納や損壊などに備えて、入居時に家主さんに預けておくお金のことで、基本的には退去の時に返ってくるお金です。それに対して「礼金」は入居時に家主さんにお礼として支払うお金のことで、退去の時に返ってきません。

京都での商習慣として、まず「礼金」については、昔から京の都として栄えたこともあり、かの昔は賃貸物件の供給が充分ではなく、本当に「住まわせてもらえるお礼金」として支払う慣習がありました。現在は賃貸物件も供給過多の状態ですので「礼金」という慣習は見直されつつありますが、京都の中心部など人気のあるエリアや新築物件など、強気の家主さんの物件ではまだまだ「礼金」という慣習も残っています。1年契約の物件で家賃1ヶ月分、2年契約の物件で家賃2ヶ月分ぐらいが京都の相場のようです。

ただ、入居者さんにとっては礼金は悪いことばかりではありません。
京都の家主さんは代々受け継いでいる土地を遊ばせていても税金が掛かるだけなので、多くの家主さんが銀行でローンを組んで賃貸物件を立てています。ですので家主さん自身の生活費も含めて、ある程度の収益計画を立てて賃貸運営しています。もちろん「礼金」もその収益計画に含まれています。
「礼金0」という賃貸物件は実は礼金分を契約年数に応じて月割りで分割して家賃に乗せていることが多いので、契約年数(1年または2年)トータルのコストはあまり変わりません。

物件選びの時の交渉として、「家賃」を下げる交渉よりも「礼金」を下げる交渉の方がやりやすいことがよくあります。京都では12月〜3月は賃貸需要が高まるので家主さんも強気ですが、5月〜10月ぐらいは交渉もしやすい家主さんが多いので、賃貸仲介の営業さんにお願いしてみてはいかがでしょうか。

敷金
礼金のところで書いたように、京都の賃貸契約には「敷金」「礼金」という習慣があり、「敷金」は滞納や損壊などに備えて、入居時に家主さんに預けておくお金のことです。家賃1〜2ヶ月分ぐらいが京都の相場のようです。

近年の全国的なルールとして、敷金は滞納や室内のひどい傷みやカビなど無い限りは全額返ってきます。滞納は別として、自然に使っていて居住年数相応の部屋の傷みや汚れについての修繕費用(原状回復費用と言うそうです)は家賃に含まれている(家賃に上乗せする)ということになっています。

ところが京都の賃貸の商習慣では家賃は家賃であって、自然に使っての部屋の修繕費用の一部も敷金から差し引いて返すという昔からの慣習があるようです。住人にとっては家賃に上乗せしてあっても敷金から差し引かれても同じことなのですが、何ともややこしい話ですね。

保証金・解約引
京都の「敷金礼金」という表記に対して敷金+礼金=保証金として、礼金+αの金額を退去時に差し引くということを事前に明記している表記の仕方です。実質的な金額は敷金礼金の場合とあまり変わりはないのですが、解約引で差し引く金額の内訳が不明瞭ということで、今後はこの表記の仕方は減っていくようです。

前払い家賃
「敷金礼金」+「前払い家賃」という物件もあります。全国ルールでは、自然に使っての部屋の修繕費用については家賃に上乗せすると言うことですが、京都の賃貸物件は供給過多なので家賃が上ると住んでもらえないということがあるので、家賃そのまま、敷金は全額返す代わりに「前払い家賃」という名称で修繕費分の上乗せ家賃の分を入居時に支払うといった物件もあります。

退去時に返ってくる金額が分かりやすいというメリットもありますが、入居時に支払わなければいけない金額も増えるので一長一短です。どちらにしても支払うお金と戻ってくるお金のトータルは敷金礼金とあまり変わりません。

契約更新・更新料
京都の賃貸商習慣として、物件によって違いますが1年または2年ごとに契約更新というものがあります。賃貸契約の更新ということで、賃貸物件の供給が不十分だった昔は契約更新ごとに家賃が上がるというような今では考えられないようなこともあったそうです(今はこんなことはないです)。そして、契約更新の時に「更新料」を支払うというのが京都の慣習としてあります。相場は1年契約で家賃1ヶ月分、2年契約で家賃2ヶ月分ぐらいが相場のようです。

「礼金」での話と同様、退去時に返ってこないお金ですが、この「更新料」も家主さん賃貸運営の収益計画に含まれているので、「更新料0」という物件は京都では概ね家賃に月割りで上乗せされていると思った方が良いでしょうね。